飲むときによく聞く10曲を選んでみた
一人で飲みに行った帰りに、ふと思いついてこれを書くことにした。
酒は好きな方で、だいたい毎日飲んでいる。外でも家でも、専らビールかウイスキーだ。量はそんなに飲まないが、飲むことは好きだ。それでふと思ったのだが、家で飲むときは、必ずと言っていいほど音楽を聞いている。音のない静かな空間で飲むのは、なんとなく落ち着かない。なぜか。酒を飲むのも食事と同じで、黙々と口に入れても楽しくないからだ。基本的には誰かと一緒にするのが理想的で、一人のときには、話し相手の代わりに意識の対象となる何かが必要になる。突き詰めて言えば、本来、酒というものが、飲んでいることに意識を集中させて飲むものでもないような気はする。まあいい。酒が鼻と口を幸せにするものだとしたら、音楽は耳を幸せにするものだ。複数の感覚器官を同時に満たすことで、快楽は倍増する。ただしそれは、組み合わせがうまくいった場合に言えることであって、何でもいいわけではない。
というわけで、俺が一人で酒を飲むときによく聞いている10曲を紹介したいと思う。
1. Call It What You Want / Foster The People
これはネットラジオで初めて聞いたとき、衝撃を受けた曲だ。自然に足でリズムを取ってしまうくらいのグルーヴィーな感じ。Foster The Peopleは一瞬で好きになった。この曲が入っているTorchesというアルバムはどれも粒揃いだが、中でもこの曲はノリやすい。賑やかな曲なので、まだ明るい夕方のうちから飲むときにぴったりだと思う。ウイスキーよりビール。パブとかで流れてきたら最高。
2. Thrift Shop (Bart & Baker Electro Swing Remix) / Postmodern Jukebox
エレクトロ・スウィングというのは最近俺がハマりにハマっているジャンルで、モダンな打ち込みの音楽(Electro)を、1930〜40年代に流行したスウィング・ジャズと融合させた音楽のこと。古いけど新しい、そんな微妙なバランスを保っている。とにかくノリやすくて、格好良くて、ずっと聞いていられる。この曲は中でもお気に入りで、もともとはMacklemore & Ryan Lewisというグループのヒップホップなのだが、Postmodern Jukeboxがエレクトロ・スウィングとしてリメイクしている。オリジナルをバックミラーから消し去るぶっちぎりのカバーで、このカバーはもはや芸術。朝でも夜でも聞けるすばらしい曲で、こういうのがあったらもっと欲しい。
3. Save Your Love / Shocking Blue
うってかわって、しんみりとした曲。薄暗い部屋で静かに飲むには良い。ショッキング・ブルーは代表曲「ヴィーナス」以外にも良い曲がたくさんある。この曲は間奏のギターの音色が何とも言えないほど良い。泣かせる。バー系。
4. Get Around Town / Revolver
フランス出身の3人のバンドで、2006年に結成。日本ではまだ有名とは言えず、その証拠にまだウィキペディアの日本語版がない。ビートルズにも影響を受けている。このバンドが最初に作曲したオリジナルの曲がGet Around Townで、ライブバージョンが出色。演奏にチェロを取り入れる古臭さが良い。間違いなくノレる。パブ系。
5. Evil Ways / Santana
ご存じサンタナ。静かに始まって、だんだん賑やかになっていき、最後にどんちゃん騒ぎで終わる。リフが耳について離れない。本を読むときにも聞いたりする。
6. Autumn Leaves / Bill Evans
ドが付く定番だが外せない。静かに飲むとき、ウイスキーはジャズがとても合う。
7. Whistle For The Choir / The Fratellis
もし「墓場まで持っていくアルバムを10枚選んでください」と言われたら、この曲が入った名盤「Costello Music」を選ぶだろう。それくらい好きなアルバムの中の1曲である。総じてフラテリスの音楽は陽気で、それはもうウキウキである。断じてパブ系。
8. Midnight / Swingrowers
またエレクトロ・スウィングから1曲。エレクトロ・スウィングは酒のBGMには合いすぎる。Swingrowersというすばらしいグループがあって、その傑作がこちら。文句の付けようがない曲。
9. Booty Swing / Parov Stelar
エレクトロ・スウィングからあと1曲だけ。Parov Stelarというセンスの塊のような男がいる。この男の曲だけで10曲選ぶことも不可能ではない。一番好きなBooty Swingを選んだ。勝手に体が踊り出す。無駄な音が1つもない完璧な曲。
10. Hours / Tycho
Tychoは去年から聞き続けているが、良すぎる。特にこのHoursが一番好きで、波が近づいてくるかのような、フワーーーーという音で始まって、もうそこからはずっと海の上にぷかぷか浮いているような感じがする。見上げれば空は雲ひとつなく、太陽はキラキラしていて、気持ちが良くて、ご機嫌である。夏を感じさせる。朝も夜も聞ける。休みの日の昼下がりのビールにも合う。
選んでみると、意外に賑やかな曲ばっかりになってしまった。そういう方が好きなのかもしれない。もちろん、しっとりとしたジャズやクラシックを聞くこともある。ここで選んだのは今の気分である。なおオアシスとビートルズは殿堂入りなので除外した。