黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

【定点観測】システム手帳「PLOTTER」を使い始めて間もなく1年

PLOTTERを使い始めて11月にまる1年を迎える。前回のエントリーでも書いたように、システム手帳を持つのはこれが初めてである割に、特に使いにくさは感じていない。好きなリフィルを好きな順番で必要な量だけ使えるPLOTTERは正真正銘のシステム手帳だが、一方でシステム手帳の宿命とも言える「重い」「厚い」を克服しており、その意味ではシステム手帳らしからぬシステム手帳ではないだろうか。それはカバーだけでなくリフィルも含めたトータルでのコーディネートに心血を注いだ結果であり、だからこそデザインに一貫性があって美しい。前にも書いたが、PLOTTERのリフィルは薄くて柔らかいのに、万年筆のインクが裏抜けしない。また、角を丸くしてあるので、耐久性が高く、見た目にもきれいだ。罫線が非常に細く、主張が穏やかなのもいい。PLOTTERのリフィルに慣れたあとで他社のリフィルを見ると、罫線が「うるさい」と感じる。使うほどに、作り手のこだわりが伝わるリフィルだ。レザーのバインダーはもちろん、PLOTTERを使うもう一つの大きな理由はこの純正リフィルのクオリティーである。他社のリフィルに比べて値段が高めなのは事実だが、それだけの価値は十分ある。

1年経つと、さすがに変化が現れる。それは見た目の変化もそうだし、あとは使い方の変化だったり、手帳に使うパーツの変化だったりもする。今回はその変化について、定点観測的な記事を書いてみようと思っている。

■見た目の変化

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まずは見た目の変化である。やはりプエブロの革は実によく育つ。5ヶ月のときの写真と見比べてもそれは一目瞭然で、薄いベージュからだんだん焦げ茶に近づいてきている。革は「さらさら」から「つやつや」へと変貌し、表面にゴワゴワとした縦筋が入り始めた。リングの当たりも出ている。リングの当たりは積極的に出したいので、PLOTTERがリフィルアクセサリーで売っているリングサポーターは使っていない。自分が理想としている伊東屋の展示品の状態にはまだ遠いが、早くあの状態になってほしくて意識的に革を揉みしだいていたので、成長は多少速まったと思われる。

■使い方の変化

使い方は現時点では変わっていないが、実は1月から新しいことをやろうとしている。それは二つあって、一つはウィークリーカレンダーを使うこと、もう一つはじゃばらんだという特殊なマンスリーカレンダーを使うことである。

ウィークリーカレンダーを使うのは、能率手帳ゴールド以来になる。能率手帳ではウィークリー「のみ」だったが、PLOTTERではマンスリーとメモに加えてウィークリー「も」使うことにした。今はマンスリーとメモの2種類だが、使っていてちょっと不便に感じる点が一つだけある。それは、カレンダーとメモが完全に分離してしまうことだ。カレンダーを見ていて「この頃に書いたメモを参照したい」と思ったときに、カレンダーから遠く離れたメモのページを開いて、日付を頼りに探す必要がある。カレンダーとメモが離れた場所にあるので、互いがリンクしにくい性質を持っている。その点、能率手帳ゴールドを使っていた頃はよかった。週間レフト式だから、左のページに予定があって、右のページにメモがあった。書いたメモは自動的に日付やその頃のスケジュールとリンクして時間軸が増えるので、情報が立体化する。今のようにフリーのメモに日付を入れてメモを積み重ねていくだけでは、まるで索引のない本を読んでいるかのようで、掴み所がない。週間レフト式のリフィルにメモを書くことで、日付という別の角度からの索引が付き、情報の掘り起こしがしやすくなる。そんな気がする。そういうわけでウィークリーカレンダーを使ってみることにした。能率手帳ゴールドで週間レフトには慣れていた(いる)ので、特に運用上の問題はない。リフィルは当然、PLOTTER純正のものを使用する。現在販売されているのは、2021年1月から2022年3月までがひとかたまりになったリフィルである。10月から12月までは純正のものがないので、仕方なく他社の日付なし週間レフト式リフィルを買ってきた。2ヶ月これで我慢して、1月からは満を持して純正リフィルに移行する。

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週間レフトを復活させるにあたり、マンスリーを廃止するわけではない。1ヶ月のスケジュールが見渡せるカレンダーは、自分にとって不可欠である。来年は純正のリフィルではなく、少し変わった他社製リフィルを使ってみることにした。それが「じゃばらんだ」であり、システム手帳に手を加えた「スライド手帳」を開発したメーカー「あたぼう」の製品である。「じゃばらんだ」はスライド手帳用のリフィルだが、普通のシステム手帳にももちろん使える。じゃばら式に広げると片面で6ヶ月のカレンダーが一覧できるという代物で、「これどっかで見たことあるな」と思ったら、野口悠紀雄の「超整理手帳」ではないか。超整理手帳はA4サイズの紙を4つ折りにして8週間の予定を一覧できるようにした手帳だが、じゃばらんだはそれのもっとスケールが大きい版だ。じゃばらんだでは月末と月初が繋がっているので、月を跨いでも「今週」「来週」の感覚が掴みやすい。ただ毎回じゃばらを広げるのは面倒な気はしているので、実際に使い始めてダメだと思ったらPLOTTER純正のマンスリーに戻そうと思っている。とりあえず試しにじゃばらんだに使う。アイディアとしてはたいへん面白い。

■新しく追加したパーツ

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使っていくうちに必要だと感じて追加したパーツが二つある。一つはリフター、もう一つはインデックスクリップである。リフターはPLOTTERが販売している純正のパーツで、プラスチックでできた薄いリフィルだが、これを手帳の最初と最後に入れることでリフィルが保護される。リフターを使っていなかった頃は、だんだん最初と最後のリフターの、特にリング付近がダメージを受けてヨレてきていた。カバーとリフィルの間にリフターが入ることで、それは解消された。さらに、リフターを入れることで手帳が開きやすくなるというメリットもある。必要のないリフィルは極力入れないようにしているが、リフターは最初から入れるべきだった。

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もう一つ、追加したパーツは、ミドリが出している「インデックスクリップ」である。クリップのようにリフィルの端っこに挟み、インデックスとして使う。今までは付箋を貼ったり、ゼムクリップを挟んだりしていたが、インデックスクリップのほうが明らかに見栄えもよく、また紙を痛めない。ここ最近買ったものの中で一番満足度が高いと言っても過言ではない。

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そういえば手帳の書き込みに使うシャープペンシルも新調した。はじめにトンボの「モノグラフ」0.5ミリを買い、次に0.3ミリを買った。しばらく0.3ミリを使っていたが、たまたまヨドバシでオレンズの0.2ミリを見つけて、買ってしまった。0.2ミリの芯はさすがに細く、ミクロな字を書いても潰れない。モノグラフより軸が細く短いのも気に入っている。ただし消しゴムは例の汚くなるやつなので、書き直すたびにモノグラフのミニサイズが出てくれと念じている。

■まとめ

PLOTTERを使い始めて間もなく1年になるが、買ってよかったと思っている。革はまだまだ育つ余地あり。2年、3年でどうなるか、引き続き定点観測を行うつもりだ。