黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

封筒を作ろう

一般的な封筒の作り方にある問題点

文通に親しむ人は、便箋や切手はもちろん、封筒にもこだわる。封筒は手紙の第一印象だ。封筒がどんなものかによって、中身に対する期待感はずいぶんと変わってくる。ありきたりな無地の封筒と、どこで手に入るのかわからないような珍しい封筒とでは、意外性において大きな差が生まれる。封筒は文通においてけっこう重要な要素なのだ。

にもかかわらず、好みの封筒を見つけるのは容易でない。市販の封筒はどれも地味だったり、いまいち好みに合わないことが多い。仕方なく無地の封筒にいろいろシールを貼ったり、自分で絵を描いたりして工夫を凝らしているという人がいったいどれだけいることだろう。

もし自分の好みにドンピシャな封筒がタダで手に入ったらどんなにいいことだろう。つまり、ちょっとお洒落な模様の紙が手元にあったときに、それを封筒にしてしまえたらいいなあと思ったことはないだろうか。

最初に思いつくのは、市販の封筒テンプレートを使う方法だ。封筒テンプレートは、主に透明のプラスチック素材でできている。裁縫で型を取るときと同じように、テンプレートの周りをペンでなぞり、はさみで切り取れば封筒の元ができあがる。それを折り紙の要領で組み立てれば、封筒ができあがるというわけだ。この方法は無駄がなく、十分に合理的だ。ところが、次のような問題点がある。

一つに、テンプレートがなかなか手に入らないこと。かつて無印良品で安価に手に入ったテンプレートも、今ではとっくに販売終了となっている。楽天市場で探せば同様のものが見つかるが、どれも価格が高い。たかがテンプレートに、送料込みで1000円以上も出せない。

もう一つに、型を取るのが面倒くさいこと。一般にテンプレートはそれほど厚みがなく、型を取る際にペンが何度も脱線する。テンプレートを使うときは、テンプレートの位置がずれないように気をつけながら、同時にペンが脱線しないように慎重に線を引かなければならない。器用な人ならともかく、俺はこれがけっこう面倒くさい。神経を使う。

そこで考えられるのが、テンプレートを自作する案だ。段ボールのような硬くて厚みのある素材を使ってテンプレートを作っておけばよさそうに思える。そこで、実際にやってみたところ、失敗だった。いらない封筒をばらして段ボールに型を取るところまではよかったが、それをカッターできれいに切り取ることができなかった。言うまでもなくテンプレートはきれいな形のものでなくてはならない。したがって、これも実用化には及ばない。
 
 
 

革命的な封筒の作り方

この二つの案の欠点を補う画期的な方法はないかと考えていたら、閃いてしまった。これなら、テンプレートを使わずに、簡単に型を取れる。名付けて、「御茶咲流封筒制作術」である。(特許取りたい。)

用意するもの

・いらない封筒
蛍光ペン
・封筒にしたい紙
・はさみ
・両面テープ
以上の5点を使って、封筒をより早く作ることができる。手順は以下の通りだ。

(1)まず、いらない封筒をばらす(解体する)。見本には、ちょうどはがきが入る「洋2」サイズを使っている。最も一般的なサイズだ。大きさは何でもいいが、安い封筒の方が都合がいい。というのも、ばらすときに糊が剥がれやすいからだ。ここでばらした封筒は今後ずっと使えるので、一度使い終わった後も取っておくといい。

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(2)ばらした封筒を、封筒にしたい紙の上に広げる。広げる位置によって、できあがる封筒の模様が決まる。封筒にしたい紙は、表裏どちらを上にしてもかまわない。

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(3)蛍光ペンで、ばらした封筒と封筒にしたい紙との境界をなぞる。きれいに線を引く必要はない。スピードを重視すべきだ。

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(4)ぐるっと一周線を引いたら、ばらした封筒を取り外す。すると写真のような線ができているはずだ。

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(5)はさみで線の内側を切る。つまり、できあがる封筒には蛍光ペンで引いた線が一切残らない。万が一線が残ったときでも、パイロットのフリクションインクを使用した蛍光ペンを使っていれば、あとから消すことができる。

(6)切り取った紙を折って封筒を組み立てる。折る位置は、ばらしたものを参考にするとよい。両面テープは細い幅のものの方が、はみ出しにくい。5mm幅がベスト。もちろん糊でくっつけてもいいのだが、両面テープの方が紙がふやけたりしないし、出先で中身を入れて最後に閉じるときでもすばやく封ができる。両面テープは何かと便利なので、ライフハックには欠かせない。

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(7)完成。あとは中に手紙を入れて封をするだけ。

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この方法は、身近にある道具だけで誰でも簡単に封筒を作ることができる。テンプレート法や自作テンプレート法に比べて圧倒的に楽なので、一度この方法で作るとやめられない。

封筒がかくも簡単に作れることがわかると、ことあるごとに「これは封筒に使える」「こんな紙があったら取っておこう」と考えるようになる。今回制作手順の見本に使用したのはアパレルショップの紙袋だ。紙袋は封筒素材として大いに役立つ。柄もお洒落なものが多いし、買い物が好きな人は数も多いに違いない。

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フリーペーパーを使うのも手だ。書店で江戸の地図の載った新聞が無料で手に入ったので、それを使ってフランスに手紙を送ったところ、相手に好評だった。代わりに英字新聞や千代紙を使っても、お洒落な封筒ができるだろう。

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アイディアの数はまさに無限。同一の封筒ができることはまずない。オリジナルの封筒を使ってどんどん手紙を書けば、文通ライフがさらに捗ること請け合いである。