黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

筆まめになるための面倒臭くない方法

最近の“郵活”事情

大学時代にポスクロ(海外文通プロジェクト)の存在を教えてもらってから2〜3年は、ポストカードや切手に一番お金をかけていた時期だった。ひと月にポストカード20枚とか、記念切手数千円分とか、そういう感じだった。ポスクロは楽しい。届いた手紙は全部ダンボールに入れて保管しているが、大きなダンボールにも入りきらないほどパンパンになっている。今はフェイスブックもあるしツイッターもあるので、日常でなかなか人に手紙を書くという機会などない。そんな時代にあって、ポスクロというプロジェクトは“書く口実”を与えてくれる画期的な「発明」であった。自分の郵便受けに海外からの手紙が入っていたときの嬉しさといったら、筆舌に尽くしがたいものがある。すでにポスクロは一生の趣味である。

 

ただし残念なことに、俺は自分で思うより筆まめではなかった。郵便物はもらうときこそ一瞬だが、出すときは非常に手間がかかるのである。新鮮に感じるうちは何とも思わなかったが、慣れてくるにつれ少しずつ返事を書くことが面倒になり、届いても返事を出すのが数ヶ月遅れたりするなど、いつしか停滞期に入っていた。返事を出さなければならないという思いは常にあるのだが、何か他にしなければならないことがあると、どうしても手紙を書く用事が後回しになってしまって、気がつくと今週もできなかったな、また来週にしようということでどんどん延びていく。その間にも相手からは旅先で書いた楽しそうなポストカードなどが続々と届くし、ますますその親切に痛み入ることになる。

 

停滞期に入ってからも、変わらず手紙を送ってくれる筆まめが2人いる。1人はドイツ人で、1人はブルガリア人。どちらも付き合いは長い。国も文化も違うし、ずっと遠く離れたところにいるのに、お互いのことはかなり詳しく知っている。考えてみると不思議なことだ。先月ドイツの人から来たポストカードは特に面白かった。1枚のポストカードにいろんな人たちのサインがあって、数えてみると20人分くらいはあった。みんな海外文通が好きな人たちだそうだ。

 

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宛名シールという筆まめ達人の方法

このポストカードをじっと見ていて、あることに気がついた。このドイツの人は住所を手書きしないで、自作のシールを貼り付けて送ってくる。初めてポストカードを交換したときからそうだ。たぶん、俺の名前と住所をどういう方法でかは知らないがシールに印刷してたくさんストックしている。ポストカードにメッセージを書いたらそのシールと切手を貼ってあとは出すだけという感じのようだ。いや、さらに言えば、宛名シールと切手を貼った状態で、ポストカードを持ち歩いている可能性もある。そうすればメッセージを書いてポストに入れるだけだから、もっと楽だ。

 

脱・筆不精のために

この知恵を、そっくりそのままではなくとも、自分も取り入れてみようと思った。できるだけ自分を面倒臭がらせないような仕組みを整えておくことで、筆まめになれそうな気がする。まずは「手紙を出す準備をする」ことと「手紙を出す」ことを分けてみよう。つまり、宛先を書いて切手も貼って、あとはメッセージを書いて投函するだけのところまで、準備しておくのだ。いつまで経っても返事が出せないのは、準備して出すまで全部の工程を一度にやろうとするからだろう。

 

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送る人を決めたら、枚数分のポストカードを選んで、宛名を書いて、切手を貼り付けておく。一連の作業が面倒であれば、それも分けよう。今日はポストカードを選ぶだけにして、明日は宛名を書くだけ、あさっては切手を貼るだけ、というように。とにかくちょっとでも面倒臭いと思ったらやめる。面倒臭くて最終的にやらなくなるよりは、面倒臭くないほどにやるほうが絶対いい。

 

ということで、今日は15分のタイマーが鳴るまで、宛名書きを行う予定。15分なら面倒臭くない。