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黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

【iPhone】iOS 7の「光と影」

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まったく新しいiOS

ついに「iOS 7」の正式版がリリースされた。いつもながら、夜更かし組の多かったことだろう。俺もやっぱり起きていたので、2時ちょうどにアップデートを開始するというミーハーぶりを発揮することとなった。アップデート開始から40分後、すさまじい変わりように新鮮さを感じながら、はやる気持ちを抑えていったん寝た。

不思議なことに、改めてiOS 7をじっくり観察してみると、なかなかによくできたデザインではないかと思えてくる。何度も言うようにアイコンは見事にダサい。が、それ以外の部分でここまで肯定的な気分になれたのは意外だった。思いの外使いやすくて気に入ってしまった。なぜこんなに使いやすいのだろうと思って、あれこれ考えてみた。

iOS 7について語るジョナサン・アイヴ

 
 
 

iOS 7はなぜ美しいのか

その結果、一つの仮説が立った。すなわち、iOS 7が使いやすい理由はその「光と影」、つまりフラットな部分とそうでない部分のギャップにある、ということである。フラットデザインなのにフラットでない部分があるというのは一見矛盾したことかもしれないが、もう少し詳しく言えばこうだ。iOS 7のフラットデザインはすべてがフラット(平面的)なのではなく、ところどころ立体的・空間的な部分がある。そのギャップがあるからこそ調和が取れ、きれいなUIが実現するのだと。

フラットデザインの「光」は無論、デザインがフラットであることである。iOS 7ではボタンやアイコンなどから立体感が失われ(あるいは取り除かれ)、全体的にのっぺりした(無機質な)外観になった。これについては、好みが激しく分かれるところだろう。俺は平面的であること自体は別に構わないし、それどころかかなりいいとさえ思っている。

問題は平面的に描かれた絵があまりにもダサいということである。アイコンのダサさは覚悟の上だったとはいえ、やはり自分のiPhoneで見ると、何ともいえない情けなさがこみ上げてくる。角の丸みはともかくとして、メッセージアプリのキミドリキミドリした明るい配色や、サファリの異常に子供じみたデザインのコンパスや、カメラロールのデフォルメされまくった図柄は、いかにも機械音痴の女子受けを狙ったという印象を受けるほど女性的で、柔らかく、軽く、明るく、抽象的で、記号的である。

こういうデザインに親しみを感じない人の中には、ジョブズの生前と比較しながら「ジョブズならこんな製品を出すはずはない」「いまやジョブズの魂は完全に失われた」などと言ってアップルの大きな方針転換を嘆く人がいる。だが、実のところそれはちょっと的外れな考えではないかと思っている。

仮にアップルがいわゆるフラットデザインを採用しなかったとしても、世の中は明らかにフラットデザインの波が来ていたし、依然それは続いている。グーグルやマイクロソフトといった大手企業はアップルに先行してフラットデザインを採用した。特にグーグルの場合はGmailYouTubeなどユーザーに対し選択の余地を与えることなくフラットデザインの使用を強いるため、結果フラットデザインの裾野が大きく広がった。可能性としての話をするなら、ジョブズが世界の流れに乗ってフラットデザインの採用に意欲的になったというシナリオも十分にあり得る。

ただし、「ジョブズが生きていたらこうだった」というのはあくまでユーザーの希望的意見であって、本当のことは誰にもわからない。「歴史に『もしも』はない」という言葉があるが、検証不可能な事柄について議論するよりは、ただ眼前の事実についてのみ言及するべきではなかろうか。いま我々の手にあるのは、アップルがフラットデザインを採用したという事実それだけである。それがジョブズの意志に反するかどうかは、想定すること自体適当でないのだ。それについては何を言ったって個人の願望を述べるにすぎない。

ともあれ、iOS 7のフラットデザインは今後ほとんどのアプリに適用されるとみられる。その流れは止められないだろう。これからもiPhoneを気持ちよく使っていくためには、現状を否応なしに受け入れてしまうほうがいい。アイコンはダサいが、以下の変更点を改善と見なせばかなりいいOSだ。iOS 7ではたくさんのことが新しくなっている。

コントロールセンター

画面下からニュッと現れる画面。1タップで機内モードやWi-Fiのオン・オフ切り替え、音楽の音量調節、計算機やカメラの呼び出しができるようになっている。


時計アイコン

iOS 7以降、時計アイコンがホーム画面上で実際の時刻を示すようになった。


カレンダー

白を基調としたデザインになった。日←→月←→年の移動が容易になった。


文字入力

たとえば「iOS アップデート」のように2つ以上の文字列の間にスペースを入れたいとき、iOS 6までは「iOS」を入力し終えた直後にいったんリターンキーを押して予測変換候補を消してやらないと、スペースを入力することができなかった(リターンキーで予測変換候補を消さないままスペースキーを押すと、予測変換候補の選択になってしまう仕様だった)。iOS 7からは、予測変換候補が出ていてもスペースキーを押せばすぐにスペースが入力できるようになった。


App Store

一覧画面で、再び無料・有料アプリごとに縦列表示になった。


計算機

メモリーボタン(M+やM-など)がなくなった。ただし、iPhoneを横にして関数電卓にすれば出る。


写真

日付ごとに表示されるようになった。


カメラ

サードパーティー製アプリを使用しなくても、写真にフィルターをかけられるようになった。連写機能がついた。


メール

フラットデザインならではのすっきりとした表示になった。


メッセージ

白を基調とした配色になった。


マルチタスク

iOS 6まではホームボタン2回で画面下部に起動中のアプリが表示されたが、iOS 7からは画面全体にサムネイル付きで横並びする仕様になった。タスクを終了するときは上にフリックする。Androidのパクりであるとの情報も。


ステータスバー

電波強度が5つの●で表示されるようになった。「LTE」は「4G」表記に変わった。「KDDI」は「au」表記に変わった。

ロック画面

パスコード入力画面が新しくなった。


その他

アプリ起動時、画面が一瞬で切り替わるのではなく、遠くから近づいてくるような動き(ズームイン)で切り替わるようになった。ホーム画面に戻るときはその逆で、遠くに離れるように動く。

……などなど、変更点は数多い。

その他、iOS 7に対応したサードパーティー製アプリの使い心地も変化した。特にEvernoteのデザイン変更は大規模。iOS 7に合わせて、平面的なデザインになった。FastEverもけっこう変わった。でもアイコンだけは変わらなかったので助かった。FastEverのアイコンはiPhoneの全サードパーティー製アプリの中で最も気に入っている。

バッテリーについては、消耗が激しくなったという声が多い。これについては、天気やアプリなどの自動更新をオフにする、画面の明度を下げる、数時間使用しないときは機内モードにするなど、いくつかの工夫でかなりよくなるだろう。派手なことをしない限り、電池の消耗が激しくなるようなOSではないと思う。

さて、フラットデザインの「光」に対する「影」の部分だが、よく観察するとiOS 7でより立体的・空間的になった部分もあることに気が付く。たとえばアプリ起動時のズームインや、iPhoneの傾きに応じて微妙に動くホーム画面、サファリのタブ一覧表示などがそうである。フラットデザインといっても、何もかもが平面になってしまったわけではない。一部のデザインはむしろiOS 6より立体的なのだ。「影」であるがゆえに見落としやすいが、割とこういう「影」の部分を緻密に計算して作ってあるのではないかと思う。むしろ「影」の部分をより効果的に見せるために「光」の部分を作ったのではないかと思えるほどに、iOS 7では立体が平面の中に実に自然に溶け込んでいる。これは見事だ。

iOS 7の設計者、ジョナサン・アイヴは言っている。「デザインとは、複雑さの中に秩序をもたらすことである」。ここでの「秩序」が何を指しているかは解釈の違いがありそうだが、俺はこの秩序こそ「光と影」のことだと考えている。あるいは「静と動」と言い換えてもいいだろう。相対する二つの概念が調和する世界、まさにそれがiOS 7なのだ。そう考えると、iOS 7の理念は二元論的なものになる。けっこう古臭い。でも、だからこそ新しい。

iOS 7のプロモーションビデオを初めて見たときは、もう「iPhoneの時代が終わった」という絶望感しかなかったけど、今ではiPhoneを買ったときのわくわく感をも取り戻している。とにかく触っていて楽しい。同じように感じている人は、けっこう多いんじゃないかと思う。

有名な大阪弁バージョンも一応貼っとく。後半が見どころ。

俺にとってはさらにうれしいことに、文字入力の途中で必ず落ちてしまうのでほとんど使い物にならなかったiPhone 4が、iOS 7の導入ではるかに機敏に動くようになった。もしかすると、iOS 6よりもiOS 7のほうが軽いのかもしれない。iOS 6より動作がもたつくというベータ版使用者の声もあったので心配していたが、杞憂に終わった。以下のサイトにも「iOS 7にアップデートしてはいけない7つの理由」の最後に「動作が重い」とあるが、少なくとも俺のiPhone 4/5に関してはどちらも重くはならなかった。むしろ4に関しては逆に軽くなった。

ガジェットショット
iOS 7にアップデートしてはいけない7つの理由
http://gadget-shot.com/hacks/15635
 
 
 
以下、iOS 7関連サイトまとめ。

AppBank
iOS 7まとめ】デザインや使い心地が一新されたiOS 7の使い方まとめ!
http://hiyo.jp/mzi

Gizmodo
iOS 7さっそくレビュー:変わった!のはデザインだけじゃない
http://hiyo.jp/9zi

Livedoorニュース
iPhone】ついにリリース!「iOS 7」に変えたとき、特に気をつけるべきポイント9
http://hiyo.jp/pzi

iPhoneちゃんねる
iOS 7、アップデート成功報告続々 特に大きな不具合は発生せず
http://iphonech.com/lite/archives/54024533.html

おまけ:気になってたあの人の情報も。

iPhoneちゃんねる
速報:ビッグウェーブさん、生存確認
http://iphonech.com/lite/archives/54024311.html

一度アップデートすると元に戻せないようなので、iOS 6とのお別れは慎重に。