黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

トラベラーズノートのカスタマイズ〜リフィルをデコる〜

俺にとって手帳というのは趣味の一つでしかなく、デキるビジネスマンのように「それなしには仕事にならない」という類の物ではない。だから実情としては別になくても困りはしない。ただ、他人がまめにスケジュールを管理したり、好きなことや大事な情報を書き込んだりしてオリジナルな1冊を作り上げているのを見ると、なんとなくいいな〜と思うわけで、自分もその真似事をしてみているにすぎない。これまで飽きっぽくトラベラーズノートモレスキンとの間を行ったり来たりしていたが、ここしばらくはトラベラーズノートで落ち着いている。去年の11月ごろから本格的に使い出したので、もう半年ぐらいは連続で使っていることになる。これでもよく続いているほうだ。毎日見たり書いたりしているわけではないにせよ、仕事の日も休みの日も、毎日持ち歩いている。持ち歩いているだけで、全然見ないことも多い。しかし持っていないとなぜか不安にかられる。そういうものになっただけで十分だろう。まずはモノとして愛着が湧かなければ、使いこなすことは難しい。そういうわけでチャームを付けたり、革を磨いたり、リフィルを改造したりするわけである。今日はというとリフィルの改造(というかデコレーション)について紹介するつもりだ。

 

その前にちょっとだけ「手帳をモノにする」ことについて語っておきたい。いつだったか、手帳術の本で「手帳は日に9回見ろ」ということが書いてあった。起きてから寝るまでの間、決まった時間に手帳を9回見る癖をつけろというのである。俺自身、実際には9回どころか1回も見ない日もある。そんなに見たところで、大したことは書いていないし、スケジュールを書かなければ忘れるほど忙しい日々は送っていないと思うからである。しかし反面、このアドバイスはかなり正しいように思う。本当に手帳を日常の道具として使いこなしたいのであれば、最初は無理してでも9回見る癖をつけるべきだと思う。そして開くたびに必ず何か書くこと。どんなつまらないことでもいい。未来の予定だけでなく、過去の出来事を書いたっていい。その時思い浮かんだことを何でも書き込む1冊にしておく。書くことがない、というのは思い込みに過ぎない。行った場所、食べた物、会った人、会いたい人、やりたいこと、買いたい物、心配なこと、嬉しかったこと、生きているかぎり何でもあるだろう。何かあるから書くのではなく、書くために何があるかを探すのである。そうすると1日に最低9個の情報が集まるから、1週間で63個以上から成る情報群になる。1ヶ月では270個だ。1年では3285個にもなる。こうして集められた情報は当然玉石混淆(というよりほとんど無駄な情報)ではあるが、そこからより重要な情報だけを拾い上げることで、二次的な知の体系が出来上がる。つまり情報のメタ化である。メタ化された情報はより抽象的な、かつ重要度の高い知識または経験であって、こういった情報はいくら時間をかけて考えても、脳内から直接ひねり出せるものではない。ほとんど考えることなく流れ作業的にやっているうちに自然に集まってくる。そういう「システム」を通して得られるものだ。そういう意味で手帳は自分の潜在能力を最大限引き出すために必要な道具である。便利だから使う(逆に言えば、便利でないから使わない)のではない。使っているうちに便利になってくるのだ。そのためには日に9回見ること。そして見るたびに何か書くことが大事だろうと思う。日に9回も繰り返して見れば、情報はかなり頭の中に定着する。いずれ、物忘れも相当程度減るだろう。逆説的に、書くことで忘れることもあるかもしれない。細大漏らさず書いてあるのだから、忘れてしまったとしても、手帳を見れば書いてある。そういう安心感が、記憶のための余分なエネルギーを節約してくれるかもしれない。実際、Evernoteを8年以上使っていて、思い出せないことはとりあえずEvernoteで検索してみるという習慣ができている。手帳でも同じことが言えると思う。そこまでいけば手帳は完璧に使いこなせているし、もはや手放すことはできないだろう。早くそうなれるように、まずは無理して9回見る癖をつけようと、今は思うのである。

  

 

 

 

日に9回も使うものなら、愛着の持てる物でなくてはならないから、いろんな工夫を施してきた。ビーズを付けたり、チャームを付けたり。それは過去の記事で紹介した通りである。今日は、リフィルの表紙をデコレーションする方法について書いてみたい。といっても、器用なほうではないので、俺でもできる簡単な方法について書いてみるつもりだ。まず完成形をご覧に入れると、こう。

 

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どちらも表紙のサイズに合わせて切った絵を貼り付けただけのものだが、なかなかどうして、良い感じではないかと自賛するまでである。車の絵のほうはミドリが公式に出しているトラベラーズノートパスポートサイズ用のクラフトファイルで、動物のほうがマンスリーのスケジュール。こちらもミドリ公式のものだ。リフィルの表紙と裏表紙には、それぞれ別々の絵を貼っている。本を読むとき、本を後ろ向きにしなければ表紙と裏表紙を同時に見ることができないのと同じで、トラベラーズノートも、カバーに普通にセットして使っているかぎり、表紙と裏表紙を同時に見ることはない。なので絵がつながるようにして貼ったところで、どうせ無駄なのだ。俺はトラベラーズノートにクラフトファイル、月間スケジュール、方眼ドットノートの3冊のリフィルをセットしているから、全部で6面、絵を貼る場所がある。クラフトファイルのもう一面はモネの「ラ・ジャポネーズ」。美術展のチラシを切って貼っている。カバーから取り外して後ろ向きにするとまるで統一感がないが、取り外さないかぎり何とも思わない。他にはネクタイの写真とか、スーツ姿のおっさんとか、アメコミのヒーローとかを貼っている。部屋にあったもので間に合わせた。制作費用は0円である。時間さえあればできる。

 

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必要なもの
・カッター
・はさみ
・両面テープ
・OPPテープ(透明テープ)
・貼りたい絵や写真

 

手順は①表紙のサイズに合わせて絵を切る、②両面テープで仮止めする、③上からOPPテープでコーティングする、の3ステップである。一番神経を使うのは最後のOPPテープを貼るところで、ちょっと歪んだりするとヒヤヒヤしながら一旦剥がして、もう1回貼るという感じ。別に大した作業ではない。

 

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テープは表紙の端から裏表紙の端まで、一気に貼ってしまう。端は先端5mm〜1cmくらいはみ出させて、折り返しておけばOK。一つ注意しなければならないのは、貼るときにリフィルを開いていてはいけないということ。少なくとも背表紙をまたぐ時だけは、閉じた状態で貼る。そうしないと、リフィルを閉じたときに表紙が引っ張られてたわむ。俺は最初これに気が付かず、やり直さなければならなかった。アメコミヒーローの絵の左上にある白い汚れは、一旦剥がしたときに破れた跡である。ずらしながら3回貼ると全面をコーティングできる。1回貼ってしまえば自然には剥がれないし、貼った面は防水になる。あとツルツルして手触りが良く、光沢があって綺麗だ。OPPテープはモレスキンの表紙に何かを貼り付けるときにも役立った。1つ持っておくと何かと便利だ。百均でも売っているので手に入れやすい。切るときはカッターを使ってツルツルした面から切るのが望ましい。はさみを使うと刃がベタベタすると思う。はさみは貼るものを切るときに使う。そもそもOPPテープを使わず、糊や両面テープだけで貼るという手もあるが、俺は神経質なので、端のほうからちょっとずつ剥がれてくると気になる。だからOPPテープで完全に貼るのだ。

 

以上、こんなふうにして案外簡単にオリジナルなリフィルを作ることができるという話。

 

ちなみに、クラフトファイルの内側には世界地図を切って貼っている。これが一番気に入っているかも。クラフトファイルにはライフの名刺サイズの情報カードを白紙のままで5枚と、それから予備の千円札を畳んで入れている。よく財布を持たずに昼食に出てしまってサザエさん状態になるので、予備の千円札には何度も救われている。

 

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