黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

前から欲しかったウイスキーボトルを購入

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2年ほど前からウイスキーをやり始めた。酒といえば酎ハイと梅酒とビールしか飲めなかったのだが、ウイスキーの良さもわかるようになるとずいぶん楽しい。大学時代にウイスキーで吐いてからしばらくの間その匂いがダメになっていて、何年か経ってようやくリセットが効いたらしい。毎日ではないが、ウイスキーを飲む日はけっこう増えた。寒くなるとビールに代わって、ウイスキーが美味しい季節となる。家には常時何かしらのボトルは置いてあって、なくなるときはすぐなくなるし、減らないやつは本当に減らない。つい先日空になったサントリー白州の350mlボトルは口を開けたのが半年くらい前だ。まずくはないのだが、あまり進まない酒だった。逆にすぐになくなるのがニッカのフロム・ザ・バレル。一般的なボトル(700ml)に対して少容量(500ml)というのもあるが、あの香りが気に入っている。フロム・ザ・バレルは専ら自宅で飲む酒で、というのも、飲める店がない。自宅で飲むウイスキーも美味いが、外で飲むウイスキーもまた格別。ただし最近はバーに行く時間もなく、家に帰っても疲れていて飲まずに寝てしまうことが多い。そこで買ったのが、佐藤金属興業のウイスキーボトルである。

 

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本来のウイスキーボトルに対するイメージは、映画か何かでおっさんがジャケットの内ポケットにこれを忍ばせていて、船の上とか電車の中とかで飲んでいる感じ。だけど自分はそんなに格好良い使い方ができないし、むしろ人の見ていないところで、こっそりとウイスキーを楽しみたいと思っている。容量は100ml、170ml、200mlの中から、最少の100mlを選んだ。数日分としては足りないかもしれないが、出先でちょっと飲むくらいなら十分である。あまり大きくなると携行性に欠けるし。中身が空の状態では、思ったよりも軽い。中身を入れると、ちょっとずっしり来る感じ。飲み口が小さいのだが、漏斗がついていているので注ぎやすい。

 

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それにしてもフロム・ザ・バレルの注ぎにくさは異常。絶対に口から垂れてしまう。注ぎにくさを犠牲にしてこの洗練されたデザインが出来上がっていると思えばいいのか。そう考えるとじゃじゃ馬な性格なのも却ってかわいい。

 

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このウイスキーボトル、蓋が思いの外重い。蓋だけでかなりずっしり来る。どうしてこんなに重く作ってあるのかは知らないが、密閉性は高く、横にしようが逆さにしようが絶対にこぼれない。鞄やポケットの中でウイスキーがこぼれたら悲惨なので、その辺は安心できる製品でないといけない。ただ、開け閉めするときにキリキリと音がするので、もうちょっと滑らかになってくれるとありがたい。素材はステンレス。まったくの無地なので、革ケースを一緒に買うか、ステッカーを貼ったりすると良さそうだ。ネットで見た限りでは革がちゃちいなーと思ったので、今回は本体のみの購入。注意書きにはワイン、ブランデー、酸性飲料を入れるなと書いてあった。味が変わったり変色したりするらしい。見ての通り、形が緩やかなカーブを描いている。ポケットに入れたときに、身体のカーブにフィットするように設計されているのかなと思った。

 

グラスで飲むときの違いといえば、ノージング(匂いをかぐ動作)がしにくいことと、氷が入らないことぐらいだろうか。俺はグラスでも普段氷を入れない(というか、入れたところで長時間溶けないでいるわけもない)のでそれは問題ないとして、ノージングはウイスキーを楽しむ上でけっこう重要な動作だったりする。小さな飲み口に鼻を近づけると、かすかに香りはするが、飲めば飲むほど液体の嵩は低くなっていくので、嗅いだときの香りも薄くなっていく。ただ、このボトル、飲むことにおいてはかなり優秀。飲み口の口当たりは思いの外良くて、ちょっと太めのストローを軽く咥えたような感じがする。カーブの膨らんでいるほうを下にしてボトルを傾けると、静かにじわーっとウイスキーが出てくるので、量の調節は簡単にできる。これはけっこう使いやすい。

 

ちょうど今NHKでニッカ創業者のドラマをやっているが、それ以前から、ウイスキーの人気再燃は言われていた。ウイスキーはとても奥深い酒だし、うんちくを貯めこむのもけっこう楽しい。俺は土屋守という人がラジオでしゃべっているのを聞いて初めて、ウイスキーをもっと知りたいと思った。土屋守は日本を代表するウイスキー評論家で、本もたくさん出ている。最近『新版 シングルモルトを愉しむ』(光文社知恵の森文庫)を読んだが、製法から文化までかなり詳しく書かれていた。ラジオの音源はYouTubeに上がっていたので紹介しておく。日本の二大巨頭、サントリーとニッカの方向性の違いについての話が面白い。

 

 

最近は万年筆といい、パイプといい、急須といい、ウイスキーボトルといい、趣味の道具が古臭くなってきた。だがそれがいい

 

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