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黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

俺は実用的でないものを買うのが嫌いではない

俺は実用的でないものを買うのが嫌いではない。たとえ見た瞬間に「これは何の役にも立たない」とわかるものでも、かっこいいもの・美しいものであれば欲しくなる。役に立たないものが面白いのは、それを買った人の趣味・趣向が入る確率が100%だからだ。ポスターなどはその最たる例で、「好きなアーティストのポスターだから飾って嬉しい」ということ以外に、何の利用価値もない。しかしそこには100%の確率で趣味・趣向が入っており、買った人を語る間違いのない材料であることは言うまでもなかろう。つまり、誰かのことを詳しく知りたいと思えば、その人が「どんなガラクタを買ったか」を調べるのが非常に有効な手段なのである。逆に、自分が買ったガラクタを集めて分析してみることで、自分自身に対する理解が深まることだってあるかもしれない。

 

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今、俺の部屋には3枚のポスターが飾られている。2枚はビートルズで、何年か前から飾っている。3枚目が新しく増えたオアシスのデビューアルバム「Definitely Maybe」のポスターで、今年の夏に帰省先のヴィレッジヴァンガードで購入したものである。このアルバムは世界で最も重要なアルバムと考えており、やはり、100%の確率で趣味・趣向が入っている。

 

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MacBookには、ビートルズの小さなステッカーが6枚貼ってある。梅田の「古書のまち」にある紀伊國屋書店のバンドスコアハウスで、1枚200円くらいで売っている。1回貼るときれいに剥がせず、2枚ほど無駄にした。買ったのは6月だが、粘着力が強力でまだ1ヶ所も剥がれていない。このステッカーにしても、本当に何の役にも立たないが、自分のノートパソコンを好きなバンドで飾ることで道具としての愛着を増すという、自己満足以外のなにものでもない利益によってきちんとペイされている。ということはやはり、100%の確率で趣味・趣向が入っている。

 

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10月から来年の手帳として使い始めたトラベラーズノートには、新しくチャームを買ってきて付けた。カジノに行ったことはないが、それっぽいコインのチャームがかわいくて気に入った。コンセプトは「Life's like a gamble(人生、一発逆転のチャンスあり)」である(笑)が、初め冗談のつもりで買ったにもかかわらず、今では半分本気でそう思っていて、なぜか気に入ってしまった。ついでに神戸・元町でだいぶ前に買ったコインのチャームも付けた。錆びまくりで味がある。こっちはもともとモレスキンに付けていたのだが、トラベラーズノートに乗り換えたのでチャームも引っ越しさせた。

 

 

もっと高額なもので言えば眼鏡。ブルーのレンズの眼鏡がずっと欲しくて、ついに買った。9月のこと。やはり眼鏡はがらりと印象を変える。今年仕立ててもらった2着のスーツとの相性も抜群で、仕事の行き帰りにかけることも多い。ただ完全な伊達眼鏡なので、レンズには度が入っていない。コンタクトなしには使えないという点でこれも役に立たない。でも気に入っている。

 

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はんこも買った。ずっと信書のサインに添えて押せるものが欲しくて、とうとうオーダーで作った。1ヶ月くらい前の話。本名ではなく、ペンネームで作ってもらった。丸印と角印で迷ったが、丸印にした。サイズは大きすぎず、小さすぎない13.5mmにした。どこまでも無難である。シャチハタのスタンプ台を、このはんこのためだけに買った。本名でないので公式の書類には使えない。でも気に入っている。

 

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はんこを作った後で気づいたことには、12mmまで対応のはんこケースがけっこう多い。今はとりあえず、手拭い生地のロールケースに入れている。これは阪急百貨店で買った。万年筆やインクの絵が入っていてかわいい。シャチハタのスタンプ台がミニサイズならぎりぎり入るので一緒に持ち歩けてよい。このケース、買ったはいいが、はんこ入れとして落ち着くまでは完全に持て余していた。買ってから使い道を考えるのは重症である。

 

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これは10月に京都に遊びに行った際、河原町オーパの中にあるブックオフで108円で買った古本。植村がグリーンランドで1年間エスキモーと同じ生活をして、その後シオラパルクからカナックまで犬橇で3000kmを単独走破するまでを克明に綴った日記である。植村はとてつもない男だ。エベレストを日本で最初に登った男だし、五大陸最高峰登頂は世界初の偉業だ。そして最期もまた、冒険家らしい。数々の場面に胸を打たれながらも、やはりこの本も実生活において何の役にも立たない。しかし俺の心はたしかに震えた。超がんばる植村に勇気づけられた。巡り巡って人生観を変えることにもなるかもしれない。

 

こうして振り返ってみて、今年もいろんなガラクタを買っていることがわかった。俺は機能美という考え方が好きで、これまでも機能美という観点からいろんな道具を紹介してきたつもりだ。しかしガラクタの場合、機能美で語ることはできないような気がする。すでに実用からはみ出したガラクタに備わった美は、機能美とは別物ではないだろうか。いずれにせよ、来年もいろんなガラクタを買うに違いない。素敵なガラクタどもを。

 

今週のお題「今年買って良かったモノ」