黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

さようならモレスキン、こんにちはトラベラーズノート、まずは形から

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今年も、来シーズンの手帳をどうしようかと考える時期になってきた。「どうしようか」というのは、どれにしようかという意味ではない。使うか使わないかという意味である。来シーズンも結局手帳なしでいくのか、それとも心機一転、手帳を使いこなす、かっこいいビジネスマンになるのか。まずそこからなのである。これまで何度も手帳を使う決意をし、そして挫折してきた。日記や新聞などはマジメに何年も続けているが、手帳だけはうまくいった試しがない。途中で必ず面倒臭くなってしまうのだ。それなのに、9月頃から世間が手帳の話題で盛り上がりだすと、またいたずらに意欲をかきたてられてしまって、なんとか俺も手帳を使ってみたいと、居ても立ってもいられなくなるのだ。この際はっきり言ってしまえば、たぶん手帳そのものはけっこうどうでもよくて、手帳を使いこなしている自分の姿を想像してそれに憧れているのだと思う。あるいは他人が上手に手帳を使っているのを見ると、自分もそれをやらなくては損だという強迫観念にかられているのかもしれない。こういう手帳熱は、俺以外にも案外心当たりのある人がいるのではないかと思う。手帳を買う前は、なんとなくできそうな気がするものだ。そしてまた新しい手帳を買う。その後のシナリオはパターン化していて、しばらくは使ってみる→そのうち見るのが億劫になる→書くのも面倒臭くなる→持ち歩かなくなる→どこかに置きっぱなしになる→はじめから手帳などいらなかったと結論づけられる、といった具合だ。そんな繰り返しで今までやってきた。客観的に見て、手帳が必要のない生活を送っている。手帳がなくてもやっていけている程度には、スケジュールに追われぬ、ゆとりのある日々を送っている。それでも懲りずに手帳を使おうとするのは、もはや道具としてではなく、ファッションとしての手帳になっているからだろう。ここまで悟っているのなら、もう何も怖くない。

 

となると手帳に求められるのはサイズと見た目であり、使いやすさや紙質といったものではない。形から入りさえすればいい。そしてとにかく続けばいいのだ。なんとか使っているうちに自分なりに少しずつ工夫したり改善点が見えてきたりして、だんだん実用面でも良いものになっていく……はずである。

 

先日は急に思い立って、またトラベラーズノートを使っていくことに決めた。随分と長い間、いろんなガラクタと一緒に放置されていたのだが、トラベラーズノートなら再開するに当たってリフィルを買うだけでいいので初期投資が少額で済むし、何よりカスタマイズの仕方が多様なので飽きが来にくいだろうと思ったのだ。俺が持っているのは、パスポートサイズのブラウンである。買って4年になるが、使っていない時期のほうが長いため、革はまだそんなに育っていない。一時、リフィルをすべて取っ払う代わりにメモ帳を挟み入れてジョッター的に使うやり方を考案し、「トラベラーズノートの掟破りな使い方」として記事を書いたことがある。これは今でもこのブログのトップ3に入るアクセス数の稼ぎ頭である。

 

 

このやり方は我ながらそれなりに説得力があるのだが、今回はまた「普通の」リフィルを使ったやり方に戻ってみようと思う。購入したリフィルは2冊。「006 フリーダイアリー月間」と「005 MD用紙 無罫」(真っ白のメモ帳)である。週間ダイアリーは今回、使わないことにした。毎日たくさん予定があるわけではないので、余白が目立つと、やる気が削がれる。スケジュールはすべてマンスリーで対応し、個別のスケジュールの詳細やその他のメモは無罫のメモに書いていくことにした。3冊以上リフィルを入れるのは避けた。やたら分厚くなるし、何箇所もページを開くのは面倒臭い。そして2冊のリフィルの他には、「010 クラフトファイル」を購入した。以前は「004 ジッパーケース」を使っていたが、ジッパーのナイロンケースは実際使ってみて、出し入れが手間取ることがわかったので、今回はクラフトファイルにして、ただ差しこむだけでいいようにした。レシートやチケット、切手などを一時的に入れておくならこれで十分だと思う。

 

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2冊のリフィルのセットの仕方についてだが、連結バンドなどは必要ないと思い、連続する2冊の表紙同士をホッチキスと留めて固定してみたところ、きちんとセットできた。が、この方法は、ページを開閉するときに問題が生じることがわかった。ページが自然に開閉するためには、開くほうのノートが前後に少しズレるための「動きの余裕」がなくてはならない。しかし、ホッチキスで固定してあるので、一方だけがズレるのではなく、同時にもう1冊のリフィルも引っ張ろうとする力が加わる。しかしもう1冊のリフィルはズレないので、結果として、たわみが生じる。このたわみがあると、随分書きにくい。したがって、ホッチキスで留めるのはやめたほうがいいということになる。トラベラーズノートの公式サイトには、2冊以上のリフィルを使うとき、連結バンドを使って留める方法が推奨されている。2冊のときと、3冊のときとでやり方が違うので、詳しくは公式サイトを参照されたい。輪ゴムでも代用できそうだが、連結バンドのほうが太くてしっかりしているので、4本で260円なら別に出してもいいのではないかと思う。というか4本もいらないので、1本単位で売ってほしい。どうせ3本余るし、シェアする人もいない。

 

 

中身のセッティングが終わったら、次はチャームを付ける。ここがトラベラーズノートのカスタマイズの全工程におけるクライマックスである。付け方は2年前に書いたので、そちらを参照されたい。

 

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チャームはミドリが公式にいくつか売っているのを見たが、あんまりピンとくるのがなかったので、自分で別の店から買ってきてつけた。以前はカメラだったがポロッと取れてしまったので、新しくカジノのコインのチャームを買った。チャームを売っている店で有名なところといえばブルックリンチャームや貴和製作所などがある。調べてみると、「ビーズ」「アクセサリー」「パーツ」「材料」「チャーム」などの検索ワードでかなり出てきた。チェーン店でいえば先の2店。

 

チャーム選びのポイントとしては、2つある。まず、なるべく片面だけのものは避けることである。チャームはゴムをかけたり外したりするたびに、裏表が逆転するので、どちらになっても、チャームが見えるようなもののほうが気にせずに済む。以前付けていたカメラのチャームは、表がカメラで、裏が全くの無地(平面の金属)だったため、裏返ると見栄えが悪かった。しかも片面だけが立体的だったため、裏返る確率が高かったように思う。今回はそういった教訓を踏まえ、両面に柄のある、コインのような両面が平面のチャームを選んでいる。そして、もう1つのポイントは、リングが垂直についているものを選ぶことである。チャームには紐を通すためのリングが付いているが、ふつうその穴は前後、つまりこちらを向いているものが多い。そうではなく、左右を向いているものを選べば、そのままトラベラーズノートの紐に通せるので便利だ。残念ながら穴が前後を向いたチャームしかない場合は、チャームと紐との間に丸カンなどもう1つパーツを挟んで、垂直にすることをおすすめする。垂直にしないと、ゴムをかけたときにチャームが常に斜めになってしまうからだ。

 

チャームを付け終わったら、最後に革を磨く。あまり革磨きは得意なほうではないけど、靴を磨くのに使っているレザーワックスを塗り込めば、乾燥してカサカサしていた革の表面が、しっとり滑らかになる。ほか、ニベアのハンドクリームなどを塗っても同じ効果があった。時々こういう油分を与えつつ、基本的には毎日触ってやることが早期育成の秘訣かと思う。

 

以上でトラベラーズノートの「形から入る」方法はすべて終わりである。パスポートサイズならポケットに入れてどこへでも連れて行くことだ。もし2016年の年末まで使い続けることができれば、わが手帳史における偉大な成功体験が生まれる。

 

□□□以下追記□□□

 

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連結バンド買ってきたので付けてみた。

 

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ゴムが太すぎて、ページを開くときに邪魔な気がする。なので1冊目の終わりと2冊めの初めだけを留めてみたら、それはそれで何か変な感じになったので元に戻した。結局、輪ゴムで留めておけばよかったかもしれない。