AKGのヘッドホン「K451」を購入
オーストリアの首都ウィーンに本社を構えるオーディオメーカー、AKG(アーカーゲー)のヘッドホン「K451」を購入した。AKGのminiシリーズでは最上位機種である。
以前から気になっていたソニーの自信作「MDR-1RNC」と迷ったが、小さいくせにすごいK451の衝撃はあまりにも大きかった。実際にK451を手にしてみると驚くほど小さく、軽い。ケーブルは着脱可能で、本体は折り畳み式。携行性にすぐれる。オンイヤー式(耳をすっぽり覆うタイプではなく、耳の上に乗っけるタイプ)だが、着け心地はすこぶるよい。耳の当たる部分には、それは柔らかいふわふわのクッションが使われており、これでソファーか何かを作ったら永遠に眠りから覚めないような気がする。
音についてはソムリエみたいな繊細な表現でそれを伝えることができたらいいのだが、よく言われるように、端正で忠実な音が鳴る。シリーズによってはやや低音が弱いと言われることもあるらしいが、K451は低音もかなり鳴っている方ではないかと思う。実際にクラシックやジャズを聴いているとき、音の立体感は夢のようだ。それはオーディオ・テクニカのような籠もった音ではなく、あくまでも透明で実直な音。この音作りは非常に趣味に一致する。つくづく、買ってよかった。歴史あるAKGの、このレベルの製品が手に入るなら、2万円は安い。
ヘッドホンも万年筆や革製品と同様、「エージング」が楽しめる。5年、10年と長く使い続けるうちに、音がだんだん研ぎ澄まされていく。どんな風に仕上がるか。楽しみだ。
余談だが、AKGの作るイヤホンには10万円の大台を超えるものがある。「K3003」だ。ここまでくるともう、どんな音がするのか想像すらできない。とりあえず、この価格帯に手を出す人はオーディオマニアだと思う。面白いのは、この「K3003」を購入したあるオーディオマニアの「戦略的衝動買い」という言葉だ。当人も言うように、そもそも衝動買いに戦略もクソもないわけだが、それでも「それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある」という説明が何となく納得できてしまうのは、その素質あるいは病原菌が俺の体内にもあるということなのか。怖い。