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黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

キンドル・ペーパーホワイト(Kindle Paperwhite)で読書が捗る理由

本好きはペーパーホワイトを買え!

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日本での発売からかなり経って、俺もアマゾンの電子書籍端末・キンドルを手に入れた。残念ながら、発売初日に手に入れる計画は、紙の積ん読本が未消化のままだいぶ残っていたのと、購入費用捻出の遅滞のために数ヶ月の延期を余儀なくされてしまったが、ようやくである。

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購入したのは、全5機種のうちモノクロ液晶の「ペーパーホワイト」Wi-Fi専用モデル(7980円)。やはり最大の悩みどころは同じペーパーホワイトでも3G・Wi-Fi両用モデル(12980円)にすべきか否かだった。考えてみると、Wi-Fi専用モデルの端末代に5000円を上乗せすれば3G回線が無料で利用できる両用モデルは、次の条件にすべて当てはまる人に向いている。

・本の検索やダウンロードなど、宅外でもキンドルを使った通信を必要とする
モバイルルーターを持っていない
・有料のWi-Fiスポット契約がない
・テザリング対応機器を持っていない

実のところ、俺は上の条件をすべて満たしていたので、3G・Wi-Fi両用モデルを買うべきだった。それでもWi-Fi専用モデルを買ったのは、次のような考えに基づいてである。つまり、宅外での通信をあきらめる代わりに、安価でキンドルを手に入れた方がよいと考えた。もちろん、宅外でも通信ができるならばそれに越したことはない。金銭的な余裕さえあれば、迷わず両用モデルを買っただろう。今回はとにかく安く手に入れたかった。お金がなくて、両用モデルを買うことができなかったのだ。

しかし、買った後でWi-Fi専用モデルは失敗ではないと思うようになった。というのも、上に挙げた条件のうちどれか一つでも満たせば、両用モデルである必要はなくなるからだ。つまり、宅外通信をあきらめるか、モバイルルーターを契約するか、有料のWi-Fiスポット契約を行うか、テザリング対応機器を手に入れるかすれば、Wi-Fi専用モデルでも十分まともに使える。このうち最も手早く実現できそうなのは、テザリング対応機器を手に入れることだ。現在使用しているiPhone4を機種変更してiPhone5またはその次の機種にすれば、宅外でもWi-Fi接続が可能になる。本の検索や購入、ダウンロード、読んでいる位置の同期などが宅外でもできるようになる。俺が見た目で嫌悪しているiPhone5への機種変更をこの頃になって検討し始めたのには、そういう背景があった。

カラー液晶の「キンドル・ファイア」は、もとより候補になかった。ペーパーホワイトは読書に特化しているからこそいい。それはちょうどポメラが愛されるのと同じ理由である。

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キンドルを買う前に気になっていたこと

さて、キンドルを買う前、いくつか気になっていたことがある。

まず、紙の本に比べて読みにくいのではないかという疑問があった。これは自信を持って断言するが、紙の本に比べて読みにくいということは全然ない。理由は次の通りだ。まず、キンドルに採用されたEインクという一種の電子ペーパーが、想像以上に見やすい。コントラストがはっきりしているので、屋外などの明るい場所でも楽に読める。

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そしてライトも工夫されている。

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アマゾンの商品紹介ページに「Kindle Paperwhiteのライトは、バックライトのように目に光を当てるのではなく、ディスプレイ自体を照らすので長時間の読書でも目が疲れません」とあるが、この文言に偽りはない。スマートフォンやタブレットのバックライトは透過光だが、キンドルペーパーホワイトのライトは反射光だ。透過光と反射光の違いについては、こちら(*1)のサイトを参考にされたい。PCの画面で文章を読むよりも、紙に印刷してから読んだ方が間違いに気が付きやすいというのはなんとなくわかる気がする。「透過光メディア(テレビ、パソコン、ケータイ、iPhone……)は、情緒的・主観的でのめり込みやすい。一方、反射光メディア(紙、映画、そしてキンドル……)は、分析的・批判的で客観的に冷めて見ることになる」というのは言いすぎではないかと思うが、とにかくキンドルの反射光ディスプレイが見やすいのは間違いない。よって紙にこだわる理由はこれで一つ減る。

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紙の本との違いということで言うと、わからない単語はすぐに内蔵辞書で調べられる。文字の上をなぞって範囲を指定するだけで、自動的に辞書の検索結果がポップアップする仕組みになっている。これは便利だ。また、ハイライト機能もある。同じく気に入った箇所をなぞって、「ハイライト」を選択すれば、蛍光ペンで文字を強調したようになる。もちろん、あとからいくらでも変更できるので紙の本よりも自由度が高い。

ちなみに、ハイライトした部分は予めWi-Fiまたは3G環境で同期しておけば、PCサイトからその一覧を見ることができる(*5)。これがとてつもなく便利なので活用しない手はない。手順はこうだ。アマゾンのキンドルサイト(英語のみ)にアクセスし、上部の「Your Highlights」をクリックする。未ログインの場合はログイン後、ハイライト箇所一覧が表示される。さらにこちら(*6)のブログで紹介されているように、一覧をコピペでEvernoteに保存すれば、いとも簡単に本の抜き書きノートが生成されるというわけだ。デジタルはこのあたりが圧倒的に強い。

もう一つ、バッテリーのもちが気になっていた。

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公式値では一度充電すれば8週間も使えるということだが、これは通信を行わずに毎日たった30分の読書を行った場合の値であり、実際にはもっと少ない。しかしスマートフォンやタブレットとは比較にならないほど長持ちするのは明らかで、少なくとも1〜2週間は充電しなくても使える。それだけ使えれば十分だろう。ちなみに、充電しながら本を読むことはできない。充電の際はUSB端子に接続する必要があるが、iPhone用のUSB-AC変換アダプターを持っていればコンセントからも充電できる。

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以上のように、気になっていたことはどちらも問題がなかった。その反面、使ってみて初めて気がついたこともある。いいこともあれば悪いこともあった。
 
 
 

紙の本より速く読める!

まず、専用レザーカバーは買っても買わなくてもいい。カバー嫌いの俺がカバーを併せて注文したのは、蓋の開け閉めと同時に端末の電源がオン・オフになるという便利な機能だけのためで、それ以外、特にメリットはない。むしろ読むときはカバーを付けない方が軽くていいので、携行性を重視する人はカバーなしの方がいいだろう。カバーを付けるとかなり重くなる。先日、何気なくカバーを外して読んでみたところ、恐ろしく軽くてびっくりした。せっかく買ったカバーなので付けておくが、買う前に知っていれば買わなかったかもしれない。

次に、キンドルを使って本を読むと、紙の本より速く読めるのに驚いた。紙と同じくらい速く読めることはあっても、紙を追い抜くまではいかないと思っていた。なぜ紙よりも速く読めるのかを考えてみると、ディスプレイ左下に表示される「Time left in book: xx m」のおかげらしい。これは、本全体の文章量と読者の読書スピード(ページをめくる間隔)から、読み終わるまでにかかる時間を計算してくれる機能なのだが、残り時間はページをめくるごとに計算され、あるページに長く留まると長くなるし、特に速く読み進めると一気に短くなる。紙の本と違い、あとどのくらいの時間で読み終わるかがかなり正確にわかる点で、モチベーションが維持しやすくなっている。読み進めているのに残り時間が増えるという悪夢を見ないようにするために必死で読み進める姿は、まさにキンドルに本を読まされているようで面白い。

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キンドルで日記を読むには一手間が必要

唯一誤算だったのは、キンドルで日記を読むという計画がうまくいかなかったことだ。PCとキンドルとをUSBケーブルで接続し、キンドルの中の「Documents」フォルダーにテキストファイルをフォルダーごと移動させたところ、たしかにキンドルで日記を読むことには一応成功した。しかし、何がいけないのか、突然文字が太くなったり細くなったりするフォントのバグが発生した。これぞフォントにあった怖い話である。それから、テキストファイルは横書きでしか表示されないので、何となく違和感がある。これについてはこちら(*2)のサイトにあるように、「AozoraEpub3」と「Kindle Previewer」というソフトを使えば最適化できるらしいが、まだ使っていないので情報は正確でない。とにかく、何も手を加えないままのテキストファイルをキンドルに放り込んで読むのは、案外難があった。そして仮に縦書き表示が実現したとしても、日記ファイルの数が4桁もあるのをどうしたらいいのかという問題が残る。まだダウンロードした本の数は30にも満たないのに、それらと同じ場所に膨大な日記ファイルが放り込まれると、読みたい本が埋もれてしまって不便極まる。キンドルポメラのように各ファイルをフォルダーに分けて階層管理できるようになれば嬉しい。

電子書籍はまだまだ成長市場だ。昨年、米国ではキンドル向けの電子書籍の販売数が紙の本を上回ったそうだが(*3)、日本語の電子書籍ははっきり言ってまだ少ない。紙で読んで面白かった本をキンドルストアで探しても、見つからないことがけっこうある。そのあたりはまだ日本の電子書籍市場が黎明期であることを示しているとの見方もできる。日本で電子書籍が今ひとつ流行らない背景には、もちろん出版社の利権などを含めて複合的な理由が存在するのだろうが、ユーザー側にしてもなぜか紙の本にこだわる人が日本には多い気がする。たしかに実体がある紙の本は、贈り物など限られた場面でまだ一定の需要があるが、そのうちデータとしての本が当たり前になる時代が必ずやってくる。現に教育現場ではタブレット端末を教材やノート代わりに用いるところもある(*4)。公的な場で電子書籍が使われるようになったということの意義はことのほか大きい。尤も、紙の本にも依然としてそれなりの魅力があるので、俺だって紙の本を今後一切買わないかといえばそうではない。結局のところ両者は共存の道を歩んでいくことになるだろうが、安価で読みやすく簡単に手に入る電子書籍があるのにあえて紙の本を選ぶ機会は当然激減する。パワーバランスはもうすでに傾いているのだ。

つい余計なことまで書いてしまったけど、こんなことを考えながらキンドルを使っている。
 
 
 

キンドル本のセール情報

最後に、キンドルの魅力の一つ、セール本について書いておく。紙の本でセールが行われることはほとんどないが、キンドルでは80%オフや90%オフといった叩き売りも珍しくない。大学の生協で紙の本が15%になるセールが年に数回あったけど、もはやその比ではない。元からタダで読める青空文庫がダウンロードし放題なのも嬉しい。調べてみると、キンドルストアでは毎週金曜にセール本の情報が更新される。セール情報は公式サイト以外にも数々のサイトあるいはツイッターアカウントで公開されており、各サイト・アカウントによって異なる情報がもたらされる。

主なセール本情報サイト
ぴたた
きんどるどうでしょう
バーゲンネット

主なセール本情報アカウント
キンドル本セール情報(@kndlbonfan)
EBookSaleBot(@EbookSaleBot)
人気電子書籍値下げ情報(@amaebooksal)

マイナーな本ばかりがセールになるのは仕方がないが、値下げを期待している本はほしい物リストに入れて定期的に監視していれば、そのうち値下げされる可能性もある。ちなみに、iPhoneのアマゾン公式アプリからはキンドル本の購入ができないが、ブラウザーでアマゾンにアクセスすれば購入できる。おそらくテクニカルな問題があるのだろうが、iPhoneからどうやってキンドル本を購入すればよいのか、初めは戸惑った。アプリから購入できるとより便利なので何とかしてほしい。