黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

ライフスタイルを変えてくれるiPod shuffle

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iPod nanoの急逝

誕生日にもらったiPod nanoが壊れた。大事に使っていたのに、まる1年経っ(て保証期間が過ぎ)た直後に壊れるという意地悪な奴だった。

どういう故障かというと、操作に欠かせないスリープボタンが、押し込まれたまま突然戻らなくなるというものだった。アップルストアで「保証期間が過ぎているので(無料での修理は)ムリですね」と瞬殺されてもめげることなく、どうにかして直す方法はないかとネットで調べていたところ、どうやらボタンを支えるごま粒ほどの小さなゴム片が本体内部でポロリと取れてしまったのが原因と判明。同様の症状は、他の同機種ユーザーにも見られるものらしい。個人的には「構造的欠陥」というレッテルを貼ることによって、己の何らかの過失を認めない意向だ。

壊れたのは第6世代のiPod nano。腕時計の文字盤ほどの大きさで、上の服のポケットなどにクリップで挟んで身につけられるのがよかった。驚くべきことに、20g強の小さな筐体に8GBもの情報が入力できる。公式発表のスペックでは、再生時間が24時間となっているが、実際はそんなにもたないと思う。特筆すべきは、タッチパネルで操作できたり、FMラジオが受信できる点だ。ただしFMラジオはあまり聞かなかった。

この第6世代nanoにさしたる不満がなかったので、似た機種を新たに購入するつもりだった。そこで真っ先に検討したのが第7世代のnanoだ。ところが、第7世代は第6世代から大きく姿を変えている。メジャーチェンジがあった場合、買い換えは慎重にならざるを得ない。

第7世代のサイズはクレジットカード大になり、iPhoneと同様、液晶画面の下にホームボタンがついた。再生時間は30時間(公式)に微増。画面はタッチパネルで、FMチューナー付き。容量は16GB。機能面で第6世代と大きく異なる点と言えば、第7世代には動画再生機能が復活した。第4・5世代でできた動画再生は、第6世代でできなくなり、第7世代でまたできるようになった。動画はいらないと言う人もけっこういるが、第4世代を使っていたとき電車やバスの中でよくオアシスのライブを見ていたので、どちらかと言えばある方が嬉しい。そういうわけで、次期候補としてほぼ確定していた。

が、結局買ったのはiPod shuffleだった。
 
 
 

iPod shuffleの何が魅力か

iPod shuffleを選んだ最大の理由は、ひっじょーにシンプルな製品だということ。まず、画面がない。それで操作できるのかと思ったら、VoiceOver機能というのがちゃんとついていて、たとえば再生中の曲名やアーティスト名、プレイリスト名の他に、バッテリーの残量なども読み上げてくれる。ポケットに手を突っ込んでボタンを押せばいいだけなので、これに慣れると画面がなくても全然いける。むしろ、ポケットから取り出して、液晶の電源を入れ、画面を見ながら操作するという従来の方法が煩わしく感じられるほど。

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サイズは500円玉とほとんど変わらない。手にしてみると余計にその小ささを感じる。「つかむ」というよりは「つまむ」という感覚に近い。重さは12.5g。1円玉13枚よりも軽い。

容量は2GB。これまでの経験から言うと、本体のサイズが小さいのはいいが、容量は大きい方がいい。壊れた第6世代nano(4GB)の半分の容量となると、さすがに少ない気もした。第6世代nanoに入れていた曲をそのままshuffleに移すことができないため、2GBに収まるように、曲目を再編する必要があった。そう、ここなのだ。逆にこの点こそが、iPod shuffleの大きな魅力であると考える。

アブラサスという財布を知っているだろうか。とにかく「薄い財布」として知られるこの製品は、スーツやズボンのポケットに入れても膨らまないのが利点で、数年前に財布を新調する際、候補に入っていた。折り畳んだときにカードと硬貨が重ならないような構造と、できるだけ革の枚数を減らした造りによって、厚さ7mmという信じられないような財布になっている。しかし、通常の財布に比べるとやはり容量には制限があり、特にカード類に関しては、約5枚しか入らない設計になっている。ポイントカードなどをたくさん財布に入れている人には「えー」と言うような設計かもしれない。しかし、これには「使い方を通じライフスタイル自体を提案したい」という製作者の意図がある。本当に必要なものだけを持ち歩くことは、ただ手荷物が減るだけでなく、持ち主の意識をどこか合理的な方向に向かわせる。製品そのものもすばらしいが、製品のコンセプト(理念)が今までの財布にはない、革新的なものだったと言えよう。

閑話休題、iPod shuffleはこのアブラサスに近い。たくさん入らない設計だからこそ、本当に必要なものが問われる。ひっじょーにシンプルだと言ったのは、第一義的に、iPodシリーズの中で最も容量が小さいということだったのだ。全シリーズの中で最も完成度が高いiPodは、このiPod shuffleだと思う。
 
 
 

iPod shuffleにつきまとう誤解

shuffleという名がついているだけに、シャッフル再生しかできないと思われがちだが、そんなことはない。プレイリストの中の曲を順番通りに再生することもできるし、1曲リピート、全曲リピートもできる。

画面がないので、曲を選べないと思われがちだが、VoiceOver機能でプレイリストを選択して、後は好きな曲までスキップすれば曲を選べる。ただしちょっと面倒くさい。基本的にはシャッフル再生機能をオンにして運任せで聴くという方法をおすすめする。厳選された音楽が入っているので、シャッフル再生でも十分に楽しめるはず。

充電しながら聴けないという罠



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充電しながら聴けないというのは、割と深刻な問題だ。iPhoneの充電ケーブルを差すところを「ドック」というそうだが、このドックが第6世代nanoにはあった。そしてそのドックとは別にイヤホンジャックがあったので、充電ケーブルとイヤホンとを別々に差して、充電しながら聴くということができたのだった。

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第4世代shuffleには、ドックがない。あるのはイヤホンジャックのみだ。じゃあどうやって充電するのかというと、イヤホンジャックに、専用のコネクターをつないで充電する。iTunesと同期するときにも、このコネクターを使う。当然、こいつを差している間は、イヤホンを差せない。だから「ずっと聴いてないと死ぬ」という人は、もう1台買うか、充電中だけ別のデバイスで聴くしかない。さしあたりiPhoneで聴いたりはしているが、iPhoneには全然音楽を同期していないので、気まぐれにYouTubeなどを開くのみである。とはいえ、iPhoneでSkyDriveにアクセスすれば、iPodに入れているよりもはるかに多くの音楽データにアクセスできる。解決策にはなっていないけど、クラウドサービスは本当に便利だ。ただし、相応のリスクもある。
 
 
 

iPodの中身を暴露

現時点でiPod shuffleに同期している曲。気がつけば全部イギリスのバンドだった。

"Definitely Maybe" (Oasis)
1 Rock 'N' Roll Star
2 Shakermaker
3 Live Forever
4 Up In the Sky
5 Columbia
6 Supersonic
7 Bring It on Down
8 Digsy's Dinner
9 Slide Away
10 Married with Children

"Morning Glory" (Oasis)
1 Hello
2 Roll with It
3 Wonderwall
4 Don't Look Back in Anger
5 Hey Now!
6 Some Might Say
7 Cast No Shadow
8 She's Electric
9 Morning Glory
10 Champagne Supernova

"Please Please Me" (The Beatles)
1 I Saw Her Standing There
2 Misery
3 Anna (Go to Him)
4 Chains
5 Boys
6 Ask Me Why
7 Please Please Me
8 Love Me Do
9 P.S. I Love You
10 Baby It's You
11 Do You Want to Know a Secret?
12 A Taste of Honey
13 There's a Place
14 Twist and Shout

"With the Beatles" (The Beatles
1 It Won't Be Long
2 All I've Got to Do
3 All My Loving
4 Don't Bother Me
5 Little Child
6 Till There Was You
7 Please Mister Postman
8 Roll Over Beethoven
9 Hold Me Tight
10 You Really Got a Hold on Me
11 I Wanna Be Your Man
12 Devil in Her Heart
13 Not a Second Time
14 Money (That's All I Want)

"Costello Music" (The Fratellis)
1 Henrietta
2 Frathead
3 Whistle for the Choir
4 Chelsea Dagger
5 For the Girl
6 Doginabag
7 Creepin' Up the Backstairs
8 Vince the Lovable Stoner
9 Everybody Knows You Cried Last Night
10 Baby Fratelli
11 Got Ma Nuts from a Hippy
12 Ole Black 'n' Blue Eyes

"Live in Manchester 1997: All Around the World (G-MEX)" (Oasis)
1 Be Here Now
2 Stay Young
3 Stand By Me
4 Supersonic
5 Some Might Say
6 Roll with It
7 D'You Know What I Mean?
8 Don't Look Back in Anger
9 Don't Go Away
10 Wonderwall
11 Live Forever
12 It's Getting Better (Man!!)
13 All Around the World
14 Fade In-Out
15 Champagne Supernova
16 Cigarettes and Alcohol
17 Acquiesce

まだ容量に空きがあるので、後でもう少し追加する。そういえば、VoiceOverの声を「English (UK)」に設定すると、オアシスの曲名をイギリスなまりの英語でいい感じに読み上げてくれることがわかった。日本語はカタコトで聞くに堪えない。ネタとしてはアリ。

iPod shuffleはたった4200円で手に入る。1台どうですか。意外と手放せなくなります。

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