黒猫陛下の書斎

「試筆」とは、試し書きのことではない。

新聞・雑誌専用機として買ったiPad Proの評価について

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iPadを購入して1ヶ月ほど経つ。MacBookiPhoneがある限りiPadは何をするにも中途半端であり要らないと考えていたのだが、ある本をきっかけに猛烈に欲しくなってしまい、購入した。その本は池上彰佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方』(東洋経済新報社)である。池上彰が完全にアナログな情報収集の仕方を貫くのに対して、佐藤優はデジタルの良さも取り込んで、ハイブリッドな方法をとる。両者ともに一級のインテリジェンスでありながら、やり方が違う。個人的にはデジタルも駆使する後者が参考になった。もともと俺はEvernoteを長年使っているし、ポメラiPhoneといったガジェットを使いこなすのが好きだ。この時世、デジタルの最大の強みである「携行性」や「検索性」を利用しない手はないと思う。とはいえ、本を読むことに関しては、電子書籍よりも紙の本の方が好きだ。なので、iPadで新聞や雑誌を読むことには抵抗があった。キンドルペーパーホワイトのような、紙に近い「反射光」のディスプレイならともかく、iPadは「透過光」のディスプレイである。見にくいのではないかという不安は少なからずあった。しかし、今紹介した本を読んで、やはりiPadを買わざるを得ないという気持ちになった。曰く、新聞は2倍速く読める上に、雑誌の読み放題サービスが便利すぎるというのである。いろいろ考えた結果、俺はiPadを新聞(日経)と雑誌を読むためだけのデバイスとして購入することにした。

 

価格は6万7824円。3月末までに注文すると24回払いの金利手数料が無料というキャンペーンに釣られた感は否めない。月々約2800円で買える計算になるのだが、安いのか高いのかよくわからない。モデルはPro 9.7インチ、色はスペースグレイ。雑誌と新聞を読むためだけに使うつもりなので、ストレージは最も小さい32GB。カバーはiPhone同様、何も付けるつもりはない。ただし、持ち運びの際に傷が付かないように、キャリーケースだけは買った。サンワサプライで1000円ほど。

 

紙の新聞の解約を申し入れてから配達が停止されるまで日数があったので、日経電子版の登録は先延ばしにして、先に楽天マガジンに登録した。楽天マガジンは、月額380円(税別)でいろんな雑誌が読み放題。最初の1ヶ月はお試し期間なので、とりあえず使ってみて、ダメだったらほかのサービスに乗り換えればよい。「dマガジン」「ビューン」「キンドルアンリミテッド」「タブホ」など似たようなサービスが多くて、しかもだいたいどこも最初の1ヶ月はお試し無料なので、数ヶ月はいろんなサービスを無料で渡り歩くことができる。ただ、本命はdマガジンなので、最後にはdマガジンを契約するつもりでいる。サービスによって読める雑誌が多少異なり、ビジネス誌が充実しているのもあれば、ファッション誌に強いのもある。よって比較対象は価格と取扱誌になる。

 

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楽天マガジンを1ヶ月使ってみての感想は、ただ「すばらしい」の一言に尽きる。『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』『週刊エコノミスト』『趣味の文具箱』『ナショナル・ジオグラフィック』『ニューズウィーク』『日経おとなのOFF』『MEN'S EX』などを好んで読んでいるのだが、たとえば『週刊ダイヤモンド』だけでも本屋で買うと710円するので、すでに元が取れている。数千円分の雑誌を読んでも月400円程度で済んでしまうのは、まさに革命的。各誌は発売日の0:00になった瞬間に公開されるので、日付が変わると同時に、最新の雑誌を読んでから寝るのが日課になった。翌日、発売されたばかり雑誌の広告が朝刊に出ていても、それはすでに読み終えている場合が多い。今までこういうことはあり得なかった。ビジネス誌の多くは月曜に発売されるので、日曜の夜は雑誌読みでけっこう忙しい。読みたい雑誌はダウンロードしておけばもちろんオフラインで読める。外で通信することはあまりなく、Wi-Fiモデルで正解だったなと思う。どうしても必要なときはiPhoneテザリングで繋いで通信している。懸案のディスプレイだが、期待以上に見やすかった。特にiPad Proのディスプレイは反射が少なく、非常に鮮やかだ。また、購入時に新聞や雑誌を読むことを意識して、許容できる限界まで大きな9.7インチディスプレイを選んだことも良かった。もっとも、Proは9.7インチとさらに大きいモデルの2択しかないのだが。

 

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そして、紙の新聞の配達が止まるや否や、満を持して電子版に登録した。キャンペーン中につき、今登録すれば4月と5月は無料で読めるということだ。約8500円が浮く。これは大きい。さて、iPadを購入した最大の目的が新聞を読むことだった。実際、紙から電子版に変えてどうだったのか。結論から言えば、良いことだらけだった。書き出してみると、少なくとも10個のメリットがあった。

 

【1】読みやすさ
紙の新聞ももちろん読みやすいのだが、iPadで読む新聞もかなり読みやすい。思っていたより目が疲れないことがわかった。必要に応じて記事の拡大・縮小ができるので、むしろ紙よりも読みやすいと感じることもある。また、暗いところでも明かりが必要ないので、夜、枕元でも読める。大きく紙を広げる必要がないので、寝ころんだままでも問題ない。メモを取るときもiPadを膝の上に置いておけるので、場所を取らない。さらに、記事をダブルタップするとその記事だけが浮かび上がる機能が読みやすくてなかなか良い。自己流だが、読み方の流れとしては、こうだ。まずはiPadの画面を横向きにして、新聞を見開きで一覧し、すばやくページをめくって見出しだけに目を通す。その後、画面を縦向きにし、気になったニュースのリードを読んで、気になれば本文をさらに読み込む。株価やスポーツの欄は飛ばす。これで、紙の本だとだいたい30分かかっていたのだが、iPadにしてからもう少し速く読めるようになった。紙と違ってページをめくる作業が一瞬で済むのと、紙面の面積が小さくなる分、一覧性が高まるせいではないかと思う。さすがに2倍も速く読めるかどうかは疑問だが、明らかに速くなったことは実感する。一度、時間を計って読んでみようと思う。

 

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【2】キーワード指定
電子版ならではの魅力として、この機能がある。任意のキーワードを登録しておけば、それが含まれる記事が色付きの枠で強調される。キーワードは10個まで登録でき、俺は今のところ3つ登録している。この機能がなければ見落としてしまう記事もけっこうある。非常に有用。さらに、登録したキーワードを含む記事のタイトル一覧が毎日メールで届く。これもかなり使える。

 

【3】携行性
紙の新聞を持ち歩くのはなかなか大変だったが、iPadにしてからはそのような煩わしさはない。何日分持ち歩こうが、質量の変化はゼロだ。

 

【4】ゴミがでないこと
週に一度の資源ゴミの日に新聞を出し忘れて、部屋に古新聞が溜まるということもなくなった。

 

【5】配達の一時停止・再開手続きの必要性がないこと
家を留守にするときはいちいち販売店に電話して、配達を一時停止してもらわなければならなかった。電子版ではその必要がない。居場所が家だろうがホテルだろうが読みたいときにダウンロードするだけなのだ。

 

【6】Web刊が利用できること
日経のサイトで公開されている記事には有料のものと無料のものがあって、紙の新聞を契約しているだけの人は、有料記事を読むことができない。ところが、電子版を契約している人は、有料記事も読める。今までは有料記事が読めないため、日経のサイトを活用する機会が制限されていたが、今では比較的よく見ている。

 

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【7】保存・共有のしやすさ

気になった記事はクリップのボタンを押すだけで保存され、いつでも参照することができる。また、Evernoteと連携させ、簡単に記事をEvernoteに保存することができる。俺はEvernote連携は使っていないが、1日ごとのメモをEvernoteに保存している。

 

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【8】速報性
紙の新聞は毎朝3:30頃に届いていたのだが、電子版は2:30から読める。この時間はどうせ寝ているのでまあ関係ないのだが、夕刊が15:30からすぐ読めるのは大きい。まさにこれのおかげで、夕刊を読むようになった。紙のときは夕刊は取っていなかったのである。読む余裕がなかったからだ。しかし夕刊は朝刊にはないリラックスした記事が多く、けっこう楽しい。

 

【9】検索性
キーワードで記事を検索するということが漏れなく、かつ一瞬でできるのが電子版の最大の強みである。関心のある記事を漏れなく読むためには検索機能が大いに役立つ。

 

【10】複数回に分けて読めること
携行性と速報性とによって可能となることだが、出先でちょっとずつ読むことができるようになったのは大きい。紙の新聞は朝読めたら読み、そうでなければ家に帰ってから読むという感じだった。これまで、読むのはほとんど1回きりであった。これでは記憶に残りにくい。iPadを買ってから、とりあえず軽く読んでおいて、気になる記事はあとで時間ができたときにもう1回じっくり読む、ということができるようになった。

 

以上、10個のメリットを現段階で挙げることができる。これだけのメリットがある時点で、電子版は最高!と言わざるを得ない。いや、最初にデジタルを賛美するこの流れは、キンドルと同じような気もするが……。キンドルは使う機会がめっぽう少なくなってしまって、今は紙で読むことがほとんどだ。キンドルは読みやすさは文句ないのだが、価格面での優位性が低いので、結局紙の本に戻ってしまう。旅行のときにはキンドルは最高なのだが。あとになって、やっぱり新聞も紙だな、とならないことを祈る。とにかく、まだiPadを買って1ヶ月だが、新聞・雑誌専用機として現段階での評価はすこぶる高い。非常に良い。